「今日はいける」——そう思って釣り場に立ったのに、何もかもがうまくいかない日というのが釣りにはあります。ダンゴは空中で崩れ、エサは元気なまま戻ってきて、周りを見渡しても誰も釣っていない。最後に回収した仕掛けに5センチのハゼ。これを釣れたと言っていいのか迷いながら、ゴンちゃんは竿を仕舞いました。
風速3メートル、水温ぬるめ、少し濁りあり——条件は悪くなかったはずだ
釣行当日の朝、釣り場に着いてまず海を確認しました。風速3メートル、釣りには何の支障もない程度の風です。バケツで海水を汲むと「ぬるめ」の感触。水温は悪くない。潮の色を見ると、うっすら濁りが入っていました。
これはチヌが動きやすい条件です。底が透けて見えるような澄んだ海よりも、適度に濁っている方がチヌは警戒心を緩めて動き回ります。「今日はいけるんちゃうか」とゴンちゃんはひそかにテンションを上げていました。
仕掛けは磯竿1.5号5.25メートルの中通しタイプ。リールは1500番、道糸2号、ハリス1.2号、ウキは0.8号の棒ウキ、オモリ0.8号、針はチヌバリ2号です。
ダンゴはマルキュウの波止ダンゴチヌにオキアミエキスを混ぜ、海水で握れる硬さに仕上げました。前日から準備しておいたので状態は万全——のつもりでした。
まさかの空中分解!ダンゴが海面に届かない
さあ実釣開始。狙いのポイントへダンゴを投げ込もうとした一投目——パカッという音とともに、ダンゴが空中でバラバラに崩れました。
空中分解とは、ダンゴを投げて海面に届く前に割れてしまい、仕掛けだけが着水する現象のことです。ダンゴ釣りをやっていると誰でも一度は経験しますが、何度やっても恥ずかしい。周りに見られていないかそっと確認しながら、平然とした顔で仕掛けを回収します。内心は「なんでやねん」です。
空中分解の原因はダンゴの水分が足りなかったことでした。前日に仕込んでおいたダンゴが、一晩でほんの少し乾いてしまったようです。握ったときに指の跡が残るくらいの硬さが理想ですが、この日は少し硬すぎました。
海水を足してダンゴを練り直します。硬さを確認してから次の一投。今度はちゃんと着水しました。ダンゴ釣りの基本ですが、当日の朝に必ずダンゴの状態を確認することが大切です。前日に作っておいても、一晩で状態が変わることがあります。経験として刻んでおきましょう。
1時間、2時間——エサが元気なまま戻ってくる
ダンゴの状態を整えて釣りを再開します。同じポイントへ繰り返し投げ込み、底にダンゴを積み上げてチヌを寄せる——これがダンゴ釣りの基本です。
しかし1時間経っても、エサが元気なまま戻ってきます。通常ならダンゴが割れた後、小魚がエサをつついてボロボロになるはずです。それが全くない。エサ取りすら寄ってきていない状態です。
ウキにも変化がありません。チヌのアタリは数ミリウキが沈む繊細なものが多いため、目を離さず集中して見続けます。しかし動かない。風に流されることもなく、ただそこに浮かんでいるウキを、ゴンちゃんはじっと見つめ続けました。
さらに1時間。状況は変わりません。エサは相変わらず元気です。「今日はこういう日なのか」とぼやきながら、それでも竿を出し続けます。来てしまった以上、最後まで粘るのが釣り人というものです。
周りを見渡しても、誰も釣れていない
ふと周りを見渡すと、近くで竿を出している人が何人かいます。しかし誰も竿が曲がっていない。誰もタモを出していない。みんなただ竿を持って海を眺めています。
穴釣りをしているおっちゃんに声をかけると完全無視。別のおっちゃんに「どうですか?」と聞くと、「全く釣れん。アタリもない。今日は魚おらんで!」と断言されました。
釣り人あるある——よく喋るおっちゃんと、ガン無視のおっちゃんは必ずいます。クワバラクワバラ。
それにしても、周り全体で釣れていないとなると、これはもう個人の腕の問題ではありません。今日はそういう日なのです。魚の活性が全体的に低い日というのが釣りにはあります。潮のタイミング、水温の変化、気圧——どれか一つでも魚のスイッチが入らない要因があれば、どんな名人が竿を出しても釣果には結びつきません。
風が強い日のダンゴ釣りには自立式オモリが便利
この日は風速3メートルで問題ありませんでしたが、これが5メートル、7メートルと強くなってくると話が変わります。強風の日にダンゴ釣りで困るのは、仕掛けが流されてポイントが定まらないことです。
そういうときにゴンちゃんが使っているのが自立式オモリです。底に置いたときにオモリ自体が自立して安定するため、強い流れや風の影響を受けにくくなります。仕掛けがポイントにとどまりやすくなるので、ダンゴを積み上げた場所からズレにくくなるのが最大のメリットです。
強風の日はウキも流されやすく、アタリが取りにくくなります。自立式オモリで仕掛けを安定させると、ウキの動きも落ち着いてアタリが見やすくなります。風の強い日のダンゴ釣りで困っている方はぜひ試してみてください。タックルボックスに一つ忍ばせておくと重宝します。
ゴンちゃんのまとめ——坊主も釣りのひとつさ
「やってられんわ」とあきらめかけた頃、仕掛けを回収したら5センチほどのハゼがついていました。アタリもなく、いつの間にかかっていた小さなハゼ。これを釣れたと言っていいのかどうか、今でも迷っています。
ダンゴも残り少なくなったので撤収。本日の釣果はハゼ1匹——実質坊主です。
でもゴンちゃんは思います。坊主も釣りの一部だと。釣れない日があるから釣れた日が嬉しい。周りも誰も釣れない日、魚が全く動かない日というのがあります。そういう日に竿を出して、海と向き合って、それでも最後まで粘った。それだけで十分じゃないでしょうか。
次回は必ずリベンジします。ダンゴの状態は当日の朝に確認する。同じポイントへ丁寧に投げ続ける。チヌよ、待っていろ。またお会いしましょう!
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